日誌

第42回卒業証書授与式 式辞

 校庭の木々の芽もほころび始め、校歌の一節「かの雪白き 霊峰に」見守る今日のこの佳き日に、埼玉県立富士見高等学校第42回卒業証書授与式を挙行できますことは、大きな喜びです。 

 ただ今、204名の皆さんに卒業証書を授与しました。ご卒業おめでとうございます。

 この日を迎え、卒業生の皆さんは今、どのような光景や思いが脳裏に去来していますか。きっと三年間の様々な場面が、感動・感激となって蘇ってきていることでしょう。二年間培ってきたものを、三年生で見事大輪の花として咲かせたという印象がある42期生は、体育祭や文化祭などの行事や日々の生活において、常に率先して行動し、富士見高校の良き伝統を積み上げてくれました。辛かったこと、楽しかったことなど様々であると思いますが、再び巡ってくることのない貴重な思い出として、大切にしてください。

 卒業後は、それぞれが選んだ道を自信を持って歩き、自分の責任で行動していかなければなりません。皆さんの前途は未知ですが、素晴らしい可能性を含んでいます。そこで、私から三つの話を皆さんの巣立ちの餞にしたいと思います。 

 一つ目は、「情報の選別能力を高め、考え・想像し、行動してほしい」ということです。

 皆さんは、これから進学・就職という新しい環境に進んでいきますが、その将来は決して楽なものではありません。国内はもとより世界に目を向けた時、様々な課題を抱えており、社会の仕組みや変化はますます複雑になっていくでしょう。皆さんはやがてどのような場所にいても、予測もしなかったような問題に直面することと思います。そんな時、その場で正しく適切な判断を下すためには、様々な経験や知識を身に付けていかなければなりません。そのために、日頃お話ししていた、まず、正しい知識・情報を得る。次に、自分はどうするか考えたり、想像したりする。そして、行動してみる。行動すると、分からない事が出てくる。更に、知識・情報を得、考え・想像し、行動する。これを繰り返すことで、その時点での優良な対策が見つかります。これができるのは、人間だからです。 

 二つ目は、「感謝の気持ちを大切にしてほしい」ということです。

 本日、卒業証書を手にすることができたのは、皆さん一人一人の努力があったのは勿論ですが、その背後に多くの人たちの力添えと愛情があったことは理解できると思います。これから長く続く人生の中で、多くの人と関わり、様々な人々や自然から有形・無形の恩恵を受けて、皆さんは成長し生き続けていきます。自分一人でできたのだ、という思い上がりの気持ちは、その人の成長を止めてしまいます。どうか周りの人々や自然に対して、素直に「ありがとう」と言える人になってほしいと思います。 

 三つ目は、「艱難汝を玉にす」です。

 これは、私の人生の中で何か有る度に思い浮かべてきた言葉です。「艱難」とは、困難なことに出会って苦しみ悩むこと。「艱難汝を玉にす」とは、多くの困難や障害を乗り越えることで、人は立派に成長することができる、という意味となります。

 皆さんの行く末には、幾多の困難が壁となって立ちはだかってくるでしょう。投げ出してしまいたくなるような厳しい局面がくるかもしれません。しかし、じっと耐え、苦しみに挑戦していくのです。苦しみの中で培われた力は、あなた自身のものです。誰にも奪われることはありません。自らのパワーとなって自分を支えてくれる原動力となります。どうか、目標は高く持ち、大地をしっかり踏みつけ、時代の波に翻弄されない人間として生きてください。 

 最後に、本日は、新型コロナウイルスの日本国内での感染拡大に伴い、苦渋の決断ではありましたが、卒業生の皆さんの一生の晴れの舞台である卒業証書授与式を縮小させていただきました。本来実施するはずのままの式次第の掲示には、私たち教職員の思い、そしてご臨席いただけなかった保護者の皆様の思いも込めさせていただいています。

 結びに、卒業生の皆さんの限りない発展と洋々たる前途を祝して、私の式辞と致します。 

   令和二年三月十二日

                  埼玉県立富士見高等学校長 山本 美千代